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第23回先端技術大賞授賞式

未来へ導く独創的な発想

(2009/7/23 東京・元赤坂 明治記念館)

浮島とも子・文部科学大臣政務官(中央)から、文部科学大臣賞を授与される中央大学院の望月理香さん(左)

優れた研究成果をあげた理工系学生や企業・研究機関などの若手研究者を表彰する「第23回独創性を拓く 先端技術大賞」(主催・フジサンケイビジネスアイ)の授賞式が23日、高円宮妃殿下をお迎えし、東京・元赤坂の明治記念館で開かれた。

式典では、色彩補正技術を活用し、個々の色弱者に対応できる「色弱補正法の研究」で文部科学大臣賞(学生部門最優秀賞)に輝いた中央大学大学院の望月理香さん、炭素繊維複合材料の成形時間を大幅に短縮する技術を実用化し、経済産業大臣賞(企業・産学部門最優秀賞)に選ばれた東レなど、各賞受賞者に賞状が贈られた。

審査委員長の阿部博之・東北大学名誉教授は「学生部門では、学生らしい斬新な発想の研究が目立った。企業が進める技術開発も安全・安心のための技術、エネルギー使用量を少なくする技術、健康で快適な生活を送るための技術など、生活者の要望を満たそうという動きがうかがえた」と講評した。

授賞式では各賞の授与の後、浮島とも子・文部科学大臣政務官らがあいさつに立った。浮島氏はあいさつで「世界の経済、社会が大きく変化する中、わが国が科学技術創造立国であり続けるには、高い科学技術水準を維持し、最先端の成果を出すことが大切だ」と強調。このうえで「今回の受賞を機に、もてる力を十分に発揮し、国内外で活躍してほしい」と要望した。

授賞式に続いて開かれた記念レセプションには約300人が出席。前回の「第22回先端技術大賞」で、産学協同研究を通じ、経済産業大臣賞に輝いた東北大学の木島明博副学長が「100年に1度の不況も吹き飛ばすような科学技術を願ってやまない」とあいさつし、乾杯の音頭をとった。

また、受賞者を代表し、中央大学大学院の望月理香さん(文部科学大臣賞受賞)と、東レの釜江俊也氏(経済産業大臣賞受賞)があいさつし、この中で釜江氏は「(受賞した技術を)今後、自動車やその他の分野に転用するため努力していきたい」と述べた。

レセプション会場には、各賞の研究内容を紹介するパネルが掲げられ、高円宮妃殿下は受賞者それぞれから直接説明を受けられた。

色弱補正の研究に挑んだ望月さんは「他の人がどのように見えているのかが知りたい」と言われたことが研究を始めるきっかけとなったことなどを説明。「高円宮妃殿下は色弱などについて熱心に質問され、頑張ってくださいと声もかけてくださいました」と話していた。

■高円宮妃殿下お言葉(要旨)

高円宮妃殿下

受賞された皆さま、本日はおめでとうございます。ここ数年、女性の科学離れ、理工学部離れが心配されていると伺っておりますけれども、本日の受賞者の中に、二方の女性がいらっしゃることはとてもうれしいことです。学生部門のグランプリに輝いた研究は、医療の世界に括られていた色弱について、理工学部的視点から補正法を提案するという、既成概念にとらわれない画期的なものです。色覚障害の解消に理工学系の学生が挑んだということは、まさに、発想の勝利といえましょう。

科学技術が進歩し、研究が高度になった今も、解明されないまま残されている研究領域が数多くありますが、既成概念にとらわれずに、果敢に多角的な側面からアプローチする柔軟な頭こそが必要とされているのかもしれません。

こうしたさまざまな創造性に富んだ研究に期待する背景には、私たち人類をはじめとした、すべての生命体を取り巻く状況が年々大きく変化していることを挙げることができます。新型インフルエンザのような新たな脅威に直面したときに、少しでもすばやく対応できるように、科学技術研究に力を入れていく必要がある、と改めて思う次第です。

昨年度は、益川さんら3氏がノーベル物理学賞、下村さんがノーベル化学賞と、日本人の基礎科学分野での研究が世界で高く評価され、注目を浴びました。皆さまにはこのような素晴らしい先輩研究者と同じように、強い信念と柔軟な思考能力を持って、学問領域や国境を越えた研究を志していただきたいと思います。

科学技術の力をもって、多くを変えることができますが、それが故に、それを実用するときの、人間の資質が問われます。家庭や教育の現場、そして社会において、私たち皆が若者をしっかりとした理念を持った人間に育てていく責任があるのではないでしょうか。そうでないと、大惨事につながることだって想定できます。

この学問や国境を超えて力を合わせることと、きちんとした理念を持った若者を育てることが、人類の将来の安全保障だと思います。

受賞された皆さま、これからもさまざまな事柄に対しての好奇心を持ち続け、創造性に富んだ研究に励んでください。本日は、科学技術の素晴らしさを改めて思い致す機会を頂き感謝申し上げますとともに、地球とそこに住む人類の将来のためのご活躍を心より祈念して、式典に寄せる言葉と致します。ありがとうございました。

 

■記念講演

中西友子・東大大学院教授

■中西友子・東大大学院教授

工学的手法 農業への応用を視野に

中西友子・東大大学院教授 講演

受賞した研究テーマをみると8割ほどが理工系技術だが、ぜひ1次産業への応用も視野に入れてほしい。過去何十年間も2次、3次産業のことを考えて技術を発展させてきた。しかし、これから何十年も先を考えると食糧の量の確保が課題になる。

戦後、食料増産が叫ばれる中、施肥と育種の技術開発が行われてきた。農薬や化学肥料が発展してきたが、植物がどのような肥料をどのくらい吸収しているかは分かっていない。植物は一つの個体で赤ん坊の部分とお年寄りの部分を抱えているし、生き物なので環境が悪いときには頑張る。農業での生産プロセスの技術開発は遅れているが、肥料を必要な時に必要なだけ与えられれば、環境に流れ出ることもない。

植物を生きたまま調べるイメージング技術として、中性子線を使っている。また、植物が根から吸収する水がどのように動いているのかを酸素の放射性同位体「O15」を利用して調べた。すると、導管の壁から大量の水が水平に流れたり、戻ったりし、ダイズの茎で20分で半分の水が交換されていた。これはほんの一例だが、リアルタイムで追いかけられるのは工学的手法があったからこそだ。いろいろな技術で、これまでと全く異なるイノベーションができると思う。情熱を持ち、自然に敬意を払いつつ活躍してほしい。

 



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